第五 私の投獄と試練(4)

第五 私の投獄と試練(4)


前にも書いたように、
私は始めからこのような運命になるのではないかと予想していたが故に、
聖書を持って行ったのであるが、
監獄の規則はもとより、所有物は一切持ち込み厳禁であり、
聖書も他の物品と同じく、留置所に置いて来ざるを得なかった。

私は、既決監に移されると直ちに聖書の差し入れを願った ところ、
何の音沙汰もないので、再三願い出たが、やはり同じであった。
私は、この願いがきかれるのかどうか分からず、
自分は、キリスト教徒であり、聖書が自分に必要なものであるから、
ぜひその差し入れを許可してほしいとの書面をもって懇願したが、
取り次ぎの押丁は、私に向かって、囚人には必要ないと言い放ち、
ついに願いは叶わなかった。

後に、内務省の通達により、聖書の差し入れが禁止されたのを聞いた時は、
失望し、二年半もの間、まったく聖書を読めないとは、
この上ない不幸であると、大いに嘆いた。

しかし私は、まったく絶望の極みに陥ることはなく、
主は私の願いをきいてくださると信じ、日々聖書を与えて下さいと祈っていた。

私は受洗以来、この時ほど切に祈ったことはなかった。
主は、まことに私達の哀願を捨てられることなく、
程なくして、聖書の差し入れを許された。
私達の喜びはいかばかりであったことか。
私はどれほど神に感謝しただろうか。
言葉では言い表せない。

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by hokkaido-revival | 2010-12-06 19:41 | 『余が信仰の経歴』 正編1-5  

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