第五 私の投獄と試練(3)

第五 私の投獄と試練(3)


こうして、私は警視庁の留置所に入れられることとなった。
この夜は、二回も呼び出されたが、特に厳しい寒さで、
自分の服は留置所に預けられ、青色の囚人服を着せられた。
これは、私の衣服を検査するためであったが、非常に寒さを覚えた。

私は、そのときの思いを詩にあらわした。
 
 寒天風起雁声愴 夢破単衾夜益長 
 獄吏呼来擁我去 一輪惨月白於霜

(寒空に風が吹き、雁の声が悲しく響く。 夢は衣を破り、夜は益々長い。
 獄吏は私を呼び、去らせようとする。  一条の差し込む月の光が霜よりも白い。)

夜明け頃、検事局より呼び出され、一応の取り調べを受け、
この日のうちに、軽罪裁判所に送られ、その夜公判にかけられ、
軽禁固二年六ヶ月、監視二年の刑に処せられた。
この晩は月が冴えわたり、肌身に突き刺すような寒気であった。

私は句を詠んだ。

 更に又 影も寒けく見ゆるかな 刑(つみ)なき庭の 冬の夜の月

かくして、翌二十八日には、他の同志達の共に、石川島の監獄に送られ、
翌年一月五日、囚人服を着せられ、髪を切られ、
髭を剃られて、既決監に移された。
その様は、以前、言論院に出頭し、権力者を訪問しては、
時事を論じた時とは、まったく違い、一厘の値もない純然たる囚人となってしまった
私達は互いを見て、思わず笑ってしまった。
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by hokkaido-revival | 2010-12-04 15:49 | 『余が信仰の経歴』 正編1-5  

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